コーヒーの抽出器具として人気の高いエアロプレスですが、どのような経緯でこれほどまでに人気を得たかご存知ですか?この記事ではエアロプレスの歴史を紹介していきます。
エアロプレスの誕生

Photo by Nathan Dumlao on Unsplash
エアロプレスはシンプルな作りのコーヒー器具で、圧力をかけながら淹れることですばやくコーヒーを作ることができます。圧力をかけてコーヒーを淹れるということからもわかるように、エアロプレスはエスプレッソマシンからインスパイアされたコーヒー器具です。
手でコーヒーの粉とお湯を押して抽出するということでフレンチプレスにも似ていますが、フレンチプレスがまだ達成していないような方法でコーヒー業界に受け入れられています。加えて、エアロプレスを使えばフレンチプレスよりも短時間でコーヒーを抽出することができます。
エアロプレスはいまではそれほど珍しいものとしては見られていませんが、初めて登場した2005年にはまだ普通ではないアイテムでした。
エアロプレスの開発者であるアラン・アドラーは、コーヒーの苦味を減らしたいと考えていました。そしてその問題を解決するために、抽出時間を短くするという解決策を思いつきました。
抽出時間を短くするためには圧力をかけて抽出すれば良いと気づいた彼は、密閉した容器を押すことで圧力を高め、コーヒーを速く抽出することに成功します。
その後多数の試作品で実験をし、エアロプレスを完成させます。彼は家族営業の事業ですぐにエアロプレスの生産と展示会での実演をはじめました。
コーヒー業界での勝利

Alan Adler(photo by AeroPress, Inc.)
スペシャリティコーヒー業界の多くは、この発明に対して懐疑的な反応を示しました。エアロプレスは革新的な抽出器具としてではなく、おもちゃメーカーのガジェットとして受け取られてしまったのです。
しかししばらく経つと、当初の状況は変わります。エアロプレスで淹れたコーヒーのサンプルはコーヒー業界を驚かせ、エアロプレスのうわさが広がり始めました。エアロプレスで抽出したコーヒーがエアロプレスの品質を保証したのです。
アラン・アドラーはエアロプレスについて以下のように述べています。
アランが述べている通りエアロプレスは様々な抽出方法で使用することができます。数多くの抽出器具がある中でエアロプレスがこれほどまでに注目されているのは、World AeroPress Championshipの影響が大きいでしょう。
抽出時間、圧力をかける時間、コーヒーの量、水の量、水温、エアロプレスをひっくり返すかどうかなど、様々な工夫をこらしてコーヒーの抽出をすることができるということが、エアロプレスの可能性を広げたのです。
エアロプレスの世界選手権
スペシャリティコーヒーに関する選手権には様々なものがあります。エアロプレスは2008年に世界選手権のラインナップとして登場しましたが、当初はそれほど真剣に行われるとは考えられていませんでした。
世界初のエアロプレス世界大会は、Tim VarneyとTim Wendelboeの出資でオスロで開催されました。世界大会とは言っても、参加者はたったの3人です。
そんなエアロプレスの世界大会ですが、いまでは世界選手権に欠かせないものとなっており、2018年には61カ国から3,157人以上が参加しました。
エアロプレスの未来 エアロプレスを小型化?

photo by AeroPress, Inc.
エアロプレスは、開発当初から現在までほとんど変わったところがありません。これから先、エアロプレスがいまとは違う形になることはあるのでしょうか。
これに関してアラン氏は「よりポータブルなエアロプレスが間もなく登場する」とほのめかしましたが、詳細は語っていません。
Source:The History of The AeroPress, From Concept to Championships